長時間のスポーツでは「乳酸をできるだけ蓄積させない」ことが大事ですが、反対に400m走までの短距離走では「いかにたくさんの乳酸を発生させるか」という能力が大事です。
短時間・高強度のスポーツ種目のほうが乳酸の蓄積が大きく、乳酸に耐えなければならないので、これは一見矛盾しているように思えます。 しかし、次のようにして説明できます。
まず、スプリンターの競技時間は短く、エネルギー源としての脂質利用は少ないです。 エネルギー源としての脂質利用が重要になってくるのは、競技時間が2~3分以上の場合で、これよりも短い時間の場合は、運動のエネルギー源となるのはほとんど糖質です。
しかも高い強度の運動は、酸素の必要量に対して心肺機能が追いつかず、酸素不足は避けられません。 つまり、乳酸蓄積は必ず起こります。
脂質が利用できない、しかも酸素不足。 なので、糖質を不完全燃焼して、乳酸を蓄積させならがエネルギーを作るしかないのです。
そしてこの場合、作られた乳酸が多ければ多いほど、生み出させるエネルギーが多いことを意味します。 パワフルに動き続けるには乳酸を蓄積させるしかないのです!
しかし乳酸の蓄積は苦痛を意味します。 100m走のように、乳酸が蓄積しきるまでに終わってしまうような種目ならばいいのですが、400m走のような無酸素運動ギリギリの種目では過度の乳酸の蓄積はペースダウンにつながります。
それを防ぐためのトレーニングのアプローチはどうすればよいのでしょうか? それは、大量の乳酸に耐える能力、「耐乳酸能力」をつけるための耐乳酸トレーニングを行うことです。
そしてもう一つ大事なのは、無酸素運動の短距離種目では出力の最大値を上げることです。 これによって、同じペースの運動でも余裕がでてきます。