
バケツ理論と球技系乳酸トレーニング
結局、全力で動くときと、そうでないときのメリハリがある球技系のスポーツでは、耐乳酸能力と乳酸酸化能力の両方をバランスよくトレーニングすることが大切なのですが、このことをバケツ理論で説明しましょう。
相手とのボールの奪い合いなど、全力で動いている場合、一時的に解糖系が全開になっていて、乳酸濃度がドンドン増加している状況です。 酸化系も作用していて、バケツの底から少しは水が抜けているのですが、短時間に一気にたまった水は、そう簡単にはなくなりません。
一方、相手との接触がなく、流しているとき、あるいは自分の出番がないときなど、解糖系は弱まっています。 このときは酸化系のおかげで少しずつ、乳酸が酸化されて濃度が低くなり、疲労が回復しています。

ただし、このときに、疲れたからといって歩いているよりは、軽く走るほうが酸化系が活性化し、乳酸をエネルギー源として消費しやすくなり、疲労回復が早くなります。

次にトレーニングによって耐乳酸能力と乳酸酸化能力を高めた効果を考えましょう。
耐乳酸能力の向上は、バケツの大きさを大きくすることです。このことで、全力で動いて乳酸濃度が高くなっても耐えられる余裕がでてきます。 また、乳酸酸化能力を高める有酸素運動のトレーニングで、バケツの底の穴を大きくします。これによって、バケツにたまった水が抜けやすくなります。
