筋肉は糖質を燃焼(代謝)して運動のためのエネルギーを作り出します。
糖質を燃焼すると水と二酸化炭素になり、それと同時に運動のエネルギーを造ります。
糖質代謝は2つの段階に分かれます。
そして、それこそが、乳酸を蓄積させる原因でもあるのです。
それを説明しましょう。
糖質代謝の第一段階は「解糖系」と呼ばれます。
解糖系の特徴はつぎのとおりです。
- 代謝に酸素を必要としない。つまり無酸素運動で行われる代謝である
- 代謝のスピードが速く、すぐにエネルギーを作ることができる
- 糖質は最終的に乳酸になる
- 作られるエネルギーの量は少ないが、すぐに作られるので、短時間の無酸素運動に重要
次の段階は「酸化系」です。
酸化系では、第一段階で発生した乳酸を酸化して、エネルギーを作り出します。
酸化系の特徴は次のとおりです。
- 代謝に酸素を必要とする。つまり有酸素運動で行われる代謝である
- 代謝のスピードが遅く、エネルギーを作るのに時間がかかる
- 乳酸は最終的に二酸化炭素と水になる
- エネルギーの作られるスピードは遅いものの、大量のエネルギーを作ることができるので、長時間の有酸素運動に重要
近年の運動生理学では、
「乳酸は解糖系で常に発生している。そして、発生した乳酸が酸化系で消費される。そして、解糖系に比べて酸化系スピードが遅いので、乳酸がどんどん蓄積する」と考えられているのです。
乳酸は、糖質燃焼の途中で発生する中間物質で、それが蓄積することが筋肉疲労の原因となると考えられているのです。
では「酸化系のスピードが解糖系のスピードに追いつけば乳酸が蓄積しないのではないか?」という疑問がわくと思います。
それはたしかにそうなのですが、短距離の種目や、長距離でもペースが上がったときやスパートをかける時、球技でも全力で動いているときは
無酸素運動で解糖系に頼ってエネルギーを速やかに作り出さなければならない局面があります。
ですので、スポーツの競技能力・体力向上を考える場合には、乳酸の蓄積ともうまく付き合っていく必要があるのです。