ジャンプ力を上げるレーニング方法は筋トレか?科学的根拠を解説

ジャンプ力を上げるレーニング方法は筋トレか?科学的根拠を解説

ジャンプ力を高める方法とは何か?スポーツ科学の論文に示されたエビデンスから、効果のあるトレーニングについて解説します。

ジャンプ力アップしたい皆さんに知ってほしい科学的根拠

ジャンプ力を上げるトレーニング方法を探している皆さん!
このページでは、スポーツ科学分野でジャンプ力を高めるトレーニング方法や、どんな人が伸びやすいかなどの研究結果を分かりやすく紹介していきます。


バレーやバズケ、ハンドボールなどジャンプ力が重要な球技に打ち込んでいる方や、ジムでトレーニングしている方なら気になる内容ではないでしょうか?


トレーニングをしていくうえで、科学的エビデンスはとても重要です!
このページで紹介する論文は「システマチックレビュー」「メタアナリシス」という、数多くの研究成果をまとめた、根拠レベルが非常に高いものばかりです。


「論文って難しそう・・・」と心配な方も安心してください!
最初に結論だけポンっと書きますので、結論だけ読んでいただければ大丈夫ですよ!



スピード不足タイプは軽負荷トレーニングでジャンプ力が上がる

この論文です。
Effectiveness of Individualized Training Programs Based on the Optimal Force-Velocity Relationship to Develop Athletes’ Jump Performance: A Systematic Review with Meta-Analysis


ジャンプ力を上げるトレーニングについての重要な結論は次のとおりです。

  • 選手には「筋力はあるけどスピート不足タイプ」「スピードはあるけど筋力が弱いタイプ」「筋力とスピードのバランスは取れているタイプ」の3つのタイプがいる
  • スピード不足タイプにはスピード重視のジャンプトレ、筋力不足タイプには重い負荷で筋トレというように、個人に合わせた「個別メニューでのトレーニング」を行うと、筋力とスピードのバランスが取れるようになる
  • 個別メニューでのトレーニングでジャンプ力が有意に上がるのは「スピード不足タイプ」であり、筋力不足タイプやバランスタイプにはそれほどの効果がない

個別化は万能ではないですが、ハマる人にはしっかり効果がある、という論文です。


論文の目的

最近よく言われている「F-Vプロファイルに基づく個別化トレーニング」
これって本当に効果あるの?というところをちゃんと検証しよう、というのがこの論文の目的です。


ジャンプ力っていうのは、単に筋力が強いとかパワーが高いとかだけじゃなくて、「力(Force)」と「速度(Velocity)」のバランスが重要だと言われていますよね。
そこで、そのバランスの崩れ、いわゆるF-Vインバランスを個別に修正するトレーニングが、本当にジャンプ力アップや最大パワーの向上につながるのか、これを明らかにしようとしています。


さらにこの研究、ちょっと踏み込んでいて、単に「個別化 vs 非個別化」だけじゃなくて、

  • 筋力不足タイプ
  • スピード不足タイプ
  • バランス型

この違いによって効果が変わるのか、そこまで見ています。
ここがこの論文のポイントですね。


解説

この論文の一番大事な考え方は、「ジャンプ力って筋力だけじゃ決まらないよね」という話です。


F-Vプロファイル理論では、ジャンプ力は最大筋力と最大速度の関係、つまりバランスで決まるとされています。


ここで重要なのが、「最適なバランス」があるということです。
例えば、同じパワー(Pmax)を持っていても(「パワー=筋力×速度」です)

  • 力に寄りすぎている人
  • 速度に寄りすぎている人

この2人がいた場合、バランスが最適に近い人の方がジャンプ力は上です。


逆に言うと、このバランスがズレているとそれだけでパフォーマンスは落ちます。
これがF-Vインバランスですね。


そこで個別化トレーニングでは、その人のタイプに応じてトレーニング内容を変えます。


筋力不足タイプ → 重いウェイトトレーニング(80%以上)
速度不足タイプ → 軽い負荷でのジャンプトレーニングやプライオメトリクス


まあ理屈としてはかなり納得感ありますよね。


じゃあ結果どうだったのかというと、ここが面白いところなんですが、


3タイプ全体として、まずF-Vバランス自体はしっかり改善しています。
これはまあ当然といえば当然で、狙ってその能力を鍛えているので、そこはちゃんと変わります。


ただし、3タイプ全体の結果としては、その改善がそのままジャンプ力向上に直結しているかというと、そうでもないんです。
これについて論文ではいくつか理由を挙げています。


まず一つは、トレーニング設計の問題です。
一部の研究では負荷設定が微妙で、そもそも狙った方向にF-Vプロファイルが動いていない可能性があります。


もう一つは運動特異性の問題ですね。
例えば、スピードを伸ばしたいのに軽いスクワットジャンプをやっても、それって実はそんなにスピード寄りのトレーニングになっていない可能性がある、という話です。


ここ、現場的にもかなり重要な指摘です。


あともう一つ大事なのが、「Pmaxが変わらなくてもジャンプは伸びる」という点です。


これどういうことかというと、能力そのものを上げなくても、「使い方」を最適化すればパフォーマンスは上がるということです。


実際、この研究でもPmaxには差が出ていません。


なので個別化トレーニングっていうのは、「能力を伸ばすトレーニング」というより、「能力の配分を整えるトレーニング」と考えた方がいいですね。


そして一番重要なのがタイプ別の解析結果です。
明確に効果が出たのは「スピート不足タイプ」だけでした。


これ、かなり現場的に意味があります。


というのも、多くの選手のトレーニングってウェイト中心、筋力重視になりがちです。
結果として「速度が足りていない」状態になっているケースが多いんですよ。


だからこそ、速度系の刺激を入れると一気に伸びる可能性がある、ということですね。


逆に、力不足の選手に単純に重い負荷を足しても、そこまで劇的な差は出ない可能性があります。
スピードはあるのにジャンプ力を上げたくて筋トレをしている人にはちょっと期待外れの結果でしたね・・・